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- コストレポート
急激な資材価格高騰局面の建設コストの推移について
Hankyu CM Channel Vol.40(2022.11発行)のコストレポートをご紹介します。 新型コロナウィルス感染拡大、2021年のウッドショックやアイアンショック、2022年2月のロシアのウクライナ軍事侵攻の影響による穀物やエネルギー関連の価格上昇などにより世界的な混乱が続いています。また、2022年4月からの記録的な円安ドル高などの複合的な要因により資材価格が高騰し建設コストにも大きく影響しています。 近年の建築費指数の推移<東京>(グラフ1) 上昇傾向が続いてきた建設コストが更に上昇傾向に 鉄筋コンクリート造、鉄骨造共に上昇傾向が継続しています。建設物価調査会の統計データによると建築費指数は、ウッドショックの影響が出始めた2021年初頭から上昇傾向となり、2022年2月のロシアのウクライナ軍事侵攻以降は、穀物やエネルギー以外にもあらゆるものの価格が上昇しています。公共工事においても入札不調が多数発生するなど、上昇傾向が続いてきた建設コストが更に上昇傾向となることが予測されます。(↓↓↓↓ パソコンでご覧の方はCLICKすると拡大で閲覧可能です ↓↓↓↓) 建築・設備主要資材価格動向<東京>(グラフ2) 2022年2月のロシアのウクライナ軍事侵攻からエネルギー関連や資材価格の高騰が加速 2022年2月のロシアのウクライナ軍事侵攻からエネルギー関連や資材価格の高騰が加速し、建築・設備主要資材価格に影響し続けています。スクラップについては2022年6月に入り下落したものの依然として高水準で推移しています。(↓↓↓↓ パソコンでご覧の方はCLICKすると拡大で閲覧可能です ↓↓↓↓) 主要都市の鉄筋工事、型枠工事の市場単価(労務費)の推移(グラフ3) 鉄筋・型枠工事で労務需給のひっ迫感が続いており、上昇傾向 東京オリンピック後に横ばい傾向(一部は下落)で推移してきましたが、鉄筋・型枠工事で労務需給のひっ迫感が続いており、上昇傾向に移っています。今後、働き方改革(4週8休)による労務費への影響、建設業界の就労者数の減少傾向により労務費は上昇すると予想されます。(↓↓↓↓ パソコンでご覧の方はCLICKすると拡大で閲覧可能です ↓↓↓↓) 阪急CMのコストマネジメントについて 基本構想から工事施工と建設プロジェクト完了までには少なくとも1年以上、長期にわたると年単位の期間を要します。建設コストが上昇局面にある状態では、計画当初に立案した予算から工事発注時に建設費が著しくオーバーするリスクが高くなるため、施工者確定だけでなく工事費を早期に確定させることがより重要となります。 お問い合わせ、是非お待ちしております! お問い合わせはこちらまで! ☞ CONTACT御精読ありがとうございました! ー Thank you for your reading! -
2023.01.11
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- SDGs・環境配慮
"ZEB" ネット・ゼロ・エネルギー・ビルディング
環境問題は、2008年の洞爺湖サミットにおける「先進国にZEB(ネット・ゼロ・エネルギー・ビル)への取組み加速」の勧告を受け、日本でも様々な取り組みが開始され現在に至っています。本ブログでは「脱炭素化社会」の基盤となる「ZEB(ネット・ゼロ・エネルギー・ビル)」についてふれていきたいと思います(脱炭素化社会についてはこちらのブログも参照ください ☜ CLICK!)。 日本におけるゼロ・エネルギー建築(ZEB)への政策 日本では2011年に東日本大震災による大規模な電力供給不足に陥ったこともあり、再生可能エネルギーによる持続可能な低炭素社会の実現が叫ばれるようになりました。2014年には閣議決定により「2020年度までに新築公共建築物等で、2030年までに新築建築物の平均でZEBを目指す」という政策目標が掲げられました。 カーボンニュートラル・脱炭素社会の実現にはZEBへの取組みが重要となります。 改めて「ZEB」とは何か? 「ZEB」とは、Net Zero Energy Building(ネット・ゼロ・エネルギー・ビル)の略称で、「ゼブ」と呼びます。快適な室内環境を実現しながら、建物で消費する年間の一次エネルギーの収支をゼロにすることを目指した建物のことです。ただ、実際の建物では人が活動しているため、エネルギー消費量を完全にゼロにすることはできません。省エネによって使うエネルギーをへらし、創エネによって使う分のエネルギーをつくることで、エネルギー消費量を正味(ネット)でゼロにすることを目指します。 理想的なZEBは消費エネルギーを省エネと創エネで”ゼロ"にすること 理想的なZEBは建物で消費するエネルギーを省エネと創エネで“ゼロ”にすることですが、建築計画をする上で“ゼロ”にすることが困難な建物や多大なコストが必要となるため、4つ(4段階)の定義が設定されています。 ZEBのメリット・ZEBを達成するには ZEBについては、環境対策の他になかなかメリットが想定できないと思われますが、実は多くのメリットがあります。 出典:環境省HP 環境ポータルより 様々なガイドラインなどが整備され企画や設計が取り組み易くなっています! ZEBの計画や設計については様々なガイドラインなどが整備されており、取り組み易くなりました。しかし、実際のZEB性能を実現するためには維持管理やウェルネス(安全・安心・健全な運用)などをしっかりと考慮した運用が求められるなど、建物引き渡し後(竣工後)の運用が大切となります。計画・設計段階から竣工までは省エネや創エネによる数字上のZEB性能の確保に視点が偏りやすくなりますが、竣工後の運用によって還元される品質(メリット)が決まるともいえ、建物運用時をしっかりと見据えたマネジメントが重要となります。 まとめ(私達阪急CMの役割) 私達、阪急CMは建築全般を専門とするプロジェクトマネージャーとして、多くの技術者(設計者、施工者、そのほか関連する各種環境コンサルタント)のマネジメントを行い、お客様の建設プロジェクトの成功とそれにより得られる高い施設品質(パフォーマンス)のご提供に貢献していきたいと考えています。本ブログに御興味がございましたら是非お問合せください(お問合せ"CONTACT" ☜CLICK!)。 御精読ありがとうございました。 ー Thank you for your reading! -
2022.10.20
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- 公共事業とCM業務
地方公共事業への”CM業務導入事例”
建設事業を行う上で成功を左右するのが建設に携わるパートナーの選定です。 これまで地方公共団体や地方企業では建設事業計画を立案する際に、設計事務所や建設会社へ相談する方法が一般的でした。つまり事業のスタートから適切なマッチングが行われていたか疑問が生じます。 その中で、特に公共事業では発注の透明性や公正さの確保、適切な予算での価格調達責任を有し、広範囲かつ高度な技術力、プロジェクト推進力、マネジメント力が求められています。 地方公共団体の建設プロジェクトにおける課題 さらに近年では数年のコスト高騰、人材不足に加えて、品確法の改正による多様な入札方式の導入・活用が進み、日常業務で多忙な地方公共団体では発注者の負担が益々大きくなっています。そして地方公共団体へ目を向けると、深刻な技術系職員のマンパワー不足・様々なプロジェクト推進の経験・知識の不足に加えて、入札不調、参加者確保など発注課題への対応が山積している状態にあるといえます。これらを補完するためにも、CM方式の導入は益々盛んになってきています。 地方公共事業における阪急CMのサービスメニュー 阪急CMは鉄道や商業ビルを始め創業以来幅広い業種で、コストマネジメントを中心にプロジェクトの推進をサポートしてまいりました。近年では地方公共事業も含め各種施設の建設プロジェクトで実績とノウハウを積み重ねてきております。地方公共事業では大きく二つのサービスメニューがございます。 Service Menu 1[ピュア型CM方式の活用] 基本構想や計画の立案支援や、設計候補者・施工候補者のリサーチ、選定を経て完成にいたるまで、そのプロジェクトの推進をサポートするサービスメニューです。PPP/PFIの推進支援や従来の設計施工分離方式に加え、デザインビルド方式、ECI方式等の様々な発注方式のご提案により、透明性を確保した公共事業の御支援が可能です。 Service Menu 2[運用を見据えた施設づくり] 公共事業や地方企業の特性に合わせ、建物をつくる過程での支援の他、運営管理方式の策定や利用方法に係わる支援など、広範囲に亘ってサポートいたします。市民への情報公開支援や地域活性化に向けたプロジェクト支援など豊富なメニューで皆様のプロジェクトを前進させていきます。 阪急CMのソリューション例 ここから阪急CMの三つのソリューション例を御紹介いたします。これらは「観光事業」「庁舎建設事業」「病院建設事業」に係る事例です。それぞれCaseごとに専用ページで御紹介しておりますので是非ご覧ください。Case 1. 三重県津市/榊原自然の森温泉保養館 ☜ CLICK!Case 2.大阪府柏原市/柏原市庁舎 ☜ CLICK!Case 3.大阪社会医療センター付属病院 ☜ CLICK! CM方式採用のタイミングと事業成功へのプロセス 世界情勢の変動により、建設事業ではコストやスケジュール等、先行き不透明な状況が続いています。調達コストの削減、品質の確保、スケジュールの遵守等プロジェクトを成功に導くためには、建設の構想初期段階における方針の策定が重要です。初期段階でCM方式を採用することでプロジェクトの方向性を確定させ、最適な設計者や施工者等の事業を担うプレーヤーと協同して目標に向かうことができます。建設事業検討時の一考となると幸いに存じます。 御精読ありがとうございました。 ー Thank you for your reading! -
2022.09.29
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- SDGs・環境配慮
建築設備エネルギー対策編
昨今、誰もが地球にやさしい環境社会を意識するようになってきました。その中でも重要なのが「脱炭素化」「カーボンニュートラル」というキーワードです。これらの使命を達成していくには、建築全体と個々の建築設備の両面からアプローチしていく必要があります。当ブログでは、脱炭素化をとりまく状況と主に「建築設備の視点」に焦点を当て、私達がいま始められることについて触れていきたいと思います。 脱炭素化社会とは? 脱炭素化社会=地球温暖化の原因となる温室効果ガス排出量実質「ゼロを目標」とする社会 現在、世界共通の目標として各国が排出量の削減・実質ゼロを掲げていますが、日本政府は、2030年までの大幅な削減目標の引き上げ、2050年を目途に温室効果ガス排出量を全体として実質ゼロ(カーボンニュートラル)にする宣言が行われています。これにより、自治体はもとより民間企業での脱炭素化への取り組み義務の具体的な対策が現在求められています。 出典:環境省広報室 ecojinより カーボンニュートラルとは 同じような内容で聞くこともあると思いますが、「カーボンニュートラル」とは一般に脱炭素化と同じ考え方として扱われます。温室効果ガスの排出量を吸収・除去量から差し引き、合計をゼロにし、実質的に温室効果ガスの排出量をゼロとする考え方です。 出典:環境省 脱炭素ポータルより 脱炭素化の課題と取り組み 地球温暖化の大きな要因となっている、温室効果ガス 温室効果ガスは大きく分けて二酸化炭素・メタン・一酸化二窒素・フロン類があります。この中でも最も温暖化への影響が大きいのが二酸化炭素の排出量であり、この削減が一番の課題となっています。また、二酸化炭素の主な発生要因は化石燃料の燃焼が挙げられます。これらの対策として一般に行われている取り組みを具体的に上げていきます。 取り組みと課題① 電気消費量を抑えることが脱炭素化への大きな一歩となる 下の表にあるように日本国内における電源構成は、徐々に減少傾向にあるとは言え、依然として、化石燃料(2018年時点で実質依存度85.5%)によるところが多いことがわかります。逆にいえば、総電気消費量を抑えることが化石燃料の削減につながります。建物の中で大きく分けて空調・熱搬送・照明コンセント・EV等の搬送装置・給湯が電気消費の大部分を占めております。設備機器においては昨今高効率機種による省エネ化が取り組まれておりますが、課題として省エネ機器はイニシャルコストが高く国内における機器の普及が進まない状況です。 取り組みと課題② 化石燃料の削減へ 自然由来の燃料や再生可能エネルギー(太陽光等の自然エネルギー)の利用を行うことで化石燃料の削減につながります。課題として、植物由来の燃料を利用しても製造輸送過程で化石燃料を使えば排出量が上回ってしまい、全体として削減目標が達成できません。課題①と同様に再生可能エネルギー設備はイニシャルコストが高くなります。 取り組みと課題③ 排出された二酸化炭素を地中へ埋設貯留することで大気への放出を削減する 二酸化炭素の貯留により、大気への影響を少なくすることで、環境への取り組みを行なっています。課題として、温室効果ガスを地中に埋め戻すための広大な土地が必要になることです(日本の場合7倍の国土が必要といわれています)。 出典:資源エネルギー庁 日本のエネルギー2020より 差し引きゼロの概念はともかく、温室効果ガスの排出量自体をゼロにするのは急務であり、世界各国では太陽光等の自然エネルギーの利用による化石燃料削減だけでなく、二酸化炭素の吸収に寄与しない素材の使用削減を行う取組等も行っており、様々な方法で二酸化炭素削減が進められています。 脱炭素経営に取り組みはじめることへのメリット 2016年のパリ協定以降、日本でも低炭素から脱炭素へ流れが一気に加速しました。企業にも脱炭素を取り入れた事業運営が求められるようになりましたが、その取り組みにはどのようなメリットがあるのでしょうか? ①投資家に足する企業イメージの向上 投資家やステークホルダーによる評価という観点により、脱炭素化に取り組む企業も増えてきています。財務情報だけでなく、環境・社会・企業統治の要素を重視した「ESG投資」の重要度が増していることから、「ESG投資」はリスクを抑え長期的に運用できるコーポレートイメージ(持続可能な企業としてのイメージ)へとつながっていきます。 ②法整備化へ向け前もって対策を打てる 近い将来に脱炭素経営への義務化(法整備)が進むと考えられますが、その時に出遅れない為にも、先んじて脱炭素化への具体的な取り組みを進めておくことは企業経営において大きなメリットです。 ③長期的な視点でのコスト削減できる 企業がかかえる設備機器のランニングコストは、企業経営おいて大きなウエイトを占めます。その電力消費量を抑えるために高効率な設備機器を導入することは、脱炭素化社会への貢献だけでなくランニングコスト削減にもつながります。加えて近年の電気・ガソリン代の上昇への対策にもなるでしょう。 それでも企業で取り組みが進まない理由 ネックとなるのは最新設備機器の導入にかかる多大なイニシャルコストです。資金的に余裕のある大企業はともかく、一般企業からすれば2050年を見据えるより、経済情勢の変化の中でまず足元の利益を追求しなければいけないのが実情でしょう。所有する建築設備に対する知見や投資資金の不足、不明瞭な費用対効果、社内で特に要求が無いといった理由で対策が進まない実情があるといえます。 では何から手をつけるべきか? 保有施設の把握・消費電力の節約を目指しましょう 前述のとおり企業の電力消費量の圧縮は、経営コストの縮減・脱炭素化社会実現の双方への効果があります。身近な建築設備から一例をあげると、空冷HPビル用マルチエアコンの旧型機種と高効率機種では、部分負荷特性や制御機器の向上により、総電気消費量に大きな差が生じてきております。それによりランニングコスト削減へつながり、設備更新に多大なコストがかかっても、数年でのコスト回収も可能かもしれません。その他に照明器具のLED化・空調機のインバーター化・地中熱利用・太陽光利用や換気、空調設備における熱再利用・雨水利用などやれることを少しずつ探っていくことが大切です。 対策には大きな費用がかかるのでは? 脱炭素化への投資は一般的設備費用と比べると高額なコストがかかりますが、設備投資の資金確保に対して、補助金を活用したり、カーボンクレジットによる取引で対価を得るなどの手段もあわせて検討することで投資コストをおさえることが出来ます。 阪急CMがご協力できること 阪急CMでは、豊富な建設プロジェクトの実績から培った技術を活用し事業主様に真にメリットのある脱炭素化をご提案することが可能です。具体的なご提案、プロジェクトの進め方は以下の表に示すとおりです。設備改修の企画から、その工事が竣工したあとのモニタリングまで幅広くマネジメントすることが可能です。 最後に 社会環境の変化に出遅れない為にも、まずは何が出来るか、企業運営にどんなメリットがあるのか模索するところから始め、将来的経営プランを共に考えていきましょう。 御精読ありがとうございました。 ー Thank you for your reading! -
2022.04.28
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- プロジェクト & コンストラクション・マネジメント
「わが街のホール」づくり の"カナメ"
劇場や集会場などのいわゆる「ホール」と呼ばれる施設を街に整備する場合、他の用途以上に多くの専門家をプロジェクトに関与してもらう必要があるということをご存知でしょうか?皆様がお住いの「わが街」にふさわしいホールづくりとはどのようなものか?愛着を持たれるホールをつくるための秘訣を、プロジェクトマネジメントの側面からふれてまいります。 魅力あるホールづくりに必要な『個性』とは? どのような「売り」を持ったホールにするか? まず考えなければならないのは、そのホールがどういう特徴を持ち、何を「売り」にするのか、ということです。様々なイベントに使えるようにすることはもちろん重要ですが、だからと言って無個性なホールをつくっては、どこにでもあるホールとなってしまいます。街のシンボルの一つとなるホールが、何か一つでも、他のホールと違ったきらりと光る魅力を持っておくことが重要となります。「オーケストラによる生音の響きが自慢」、「臨場感あふれる演劇ならばこのホール」、「可動席を収納すれば体育館としても利用可能」、など他の施設との差別化を図ることで、周辺地域だけでなく隣接する地域からも利用する方が増え、周辺地域とっても重要なホールへとなっていきます。 PHOTO:写真提供 養父市様(YBファブ:映像音響調整室) 劇場コンサルと言われる専門家の協力を得ましょう そのためには、まずはホールコンサル、劇場コンサルと言われる専門家の協力を得ることをお勧めします。どのような特徴を持たせるべきか、どのようにしてその特徴を実現するのか、その費用はどのくらいになるのか、など専門家の知見を参考にしながら決定する必要があります。 次に、そのホールを誰に設計依頼し、工事はどこに依頼するのか?映像音響設備は誰に相談し、どこに発注するのか?舞台設備は?家具や備品は?検討すべきことは多岐にわたります。 最適なチームづくりにむけて 専門家集団によるスペシャリストチームを組む ホールの設計や工事は難易度が高く、設計会社・施工会社であっても全てに対応できるわけではありません。ホールの各種設備については、専門の会社が複数あり、それぞれの知見を結集する必要があります。これらの特徴を踏まえ、それに適した適切な専門会社を選ぶことがまず先決です。さらに、設計や工事、各種設備は密接に関連しています。バラバラに検討していては、ちぐはぐな計画になってしまい、手戻りや「こんなはずではなかった」ということも多くなってしまいます。これらの様々な各分野の専門家を有機的に連携させることが、ホール建設プロジェクトにおいて、成功の鍵を握ると言っても過言ではありません。チームをまとめあげるプロジェクトマネジャーが必要なのです。 「わが街」の市民の皆様の参加も欠かせない そして「わが街のホール」として市民の皆さんに愛着を持っていただくためには、市民の皆さんからのご意見をしっかりと反映させることも、重要です。ご意見を聴く会を開いたり、ホールの間取りや設備、使い方についてのワークショップを開いたり、様々なかたちで市民の皆さんのご意見や感想を頂き、必要な内容を設計や工事にしっかりと反映させていくことで、より街に根差したホールとしての位置づけが作られます。その場合、どういうテーマでワークショップを開けばよいのか、そのファシリテーションはどうするのか、いつの段階で開催するのが適切なのか、などについても検討することが増えてきます。 PHOTO:市民ワークショップ(撮影:阪急CM) 以上のように、ホールというのは他の用途の建物以上に、多くの分野の専門家の意見を適切に取りまとめながら計画を進める必要があり、さらには市民の方々ともコミュニケーションを取りながら、よりその街に、根差したホールとなるよう工夫を凝らすことが重要となります。それらのプロセスの積み重ねによって、より街に愛され、誇りとなるホールが作られるわけです。 多くの専門家をまとめあげるプロジェクトの"カナメ" 多種多様な専門家と協働し、プロジェクトをとりめまるマネージャーには、多様な意見をバランスよく調整する能力が求められます。それらの専門家とやり取りするためには、ホール建設に関する知見はもちろん、マーケティングや設計、工事や各種設備、ワークショップのファシリテーションなどの幅広い知識や経験が欠かせません。そういった難易度の高いホール建設プロジェクトは、地方自治体様にとっては、非常に大きな負担と不安が伴うプロジェクトとなります。ですので、多分野の知見を持ち、多くの専門家や市民の意見を調整したうえで、しっかりと事業を推進することに長けたプロジェクトマネジャーの採用こそが、最終的にプロジェクトの成否をわけていくといっても過言ではありません。私達阪急CMは、プロジェクトマネジャーとして、お客様のプロジェクトの成功に向け貢献いたします。 いかがでしたでしょうか。「わが街のホール」づくりに最適なプロジェクトパートナーをお探しの場合は、まずは阪急CMまでお問合せください。また、阪急CMがプロジェクトマネジメント業務を実施いたしました兵庫県養父市の「やぶ市民交流広場 YB ファブ」(☜ CLICK)についても、御覧いただければ幸いです! 御精読ありがとうございました。 ー Thank you for your reading! -
2022.04.22
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- コストレポート
資材価格高騰時における建設コストの推移について
Hankyu CM Channel Vol38(2021.10発行)のコストレポートをご紹介します。 今回は、「資材価格高騰時における建設コストの推移について」と題し、各資材価格のコスト推移を記載させていただいております。加えて、コラムとしてウッドショックやアイアンショックまたそのマネジメントのポイントを記載させていただきました。首都圏における多くの大規模開発案件、2025年大阪・関西万博や統合型リゾート開発等、日本国内において今後も大型プロジェクトが目白押しであり、加えて民間企業においてもコロナ禍にも関わらず、建設投資は旺盛傾向にあり、建設需要が低迷する見込みは今のところ低いと考えています。一方で、9月の中国における大手デベロッパーの経営危機に起因する世界的な信用不安が発生することが否定できない情勢にあります。 阪急CMでは、1996年創業来様々な経済情勢局面において多くの工事発注案件に携わってきており、最適な工事発注に関するCM業務を展開して参りました。そのノウハウを貴社のプロジェクトにおいても役立てていただけるよう努めますので、ぜひお気軽にお問合せ下さい。 お問い合わせ、是非お待ちしております! 御精読ありがとうございました。 ー Thank you for your reading! -
2021.11.19
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- 改修工事
既存施設の空調改修のメリット
バブル期に大量に供給された中小規模のビルやそれ以前のビルの多くは、築20年以上を超え、竣工当時に設置されていた空調設備の多くは、機器・配管・制御系等の老朽化、操作環境・基本性能の陳腐化、保守管理体制への対応が十分でない等の問題が生じ、改修工事が必要となっています。 省エネや機能性向上など新たなニーズに対応し、新築ビルに劣らない資産価値・省エネ性能を確保するというビルオーナーとテナント双方の視点にたち、本ブログではその改修工事のメリットについて触れていきたいと思います。 Ⅰ 経年劣化で発生するリスク 経年劣化で発生するリスクには「物理的劣化」「経済的劣化」「社会的劣化」の三つのリスクが存在します。 物理的劣化のリスク 築20年以上経過し、機器・配管・ダクト・制御系の経年劣化に起因する故障発生率の増加や、メーカーの部品供給停止により、修理が不可能になるリスクがあります。 経済的劣化のリスク 経年劣化に伴う保守コストの増加及び、故障発生時の復旧には多大な費用が必要になります。また、ビルの信頼性が損なわれるリスクも増大します。 社会的劣化のリスク 近年多く採用されるエリア毎に条件設定可能な「個別分散方式」に対し、バブル期の空調方式は個別に温湿度などが調整できない「セントラル空調方式」であることが多く、省エネの観点からも新築ビルに比して年々陳腐化し、社会的ニーズに対応できないリスクがあります。 Ⅱ 改修工事で期待できるメリット 改修計画は、ランニングコスト・資産価値等を比較検討した上で、既存機器のオーバーホール(分解洗浄)、制御系の改修から新しい機器・方式への更新まで、複数の選択肢から組み立てていきます。例えば築20年以上経過したビルの空調機器を従来型の「セントラル方式」から現代型の「個別分散方式」への改修すると以下のようなメリットが生まれます。 省エネルギー化 オフィスビルの空調に消費するエネルギーは、全体の消費量に対して約30%に上ります。空調負荷変動に対し追従性の高い「個別分散方式」に改修することで、省エネルギー化が可能になります。 ランニングコスト削減 保守費の他エネルギー消費量の低減が可能となるのは「個別分散方式」であり、負荷変動に柔軟に対応し、効果的に運転することでランニングコストの削減が可能になります。 資産価値向上 休日対応、時間外対応等のテナント要求に対応する高いフリキシビリティを持ち、エネルギー消費の低減が可能となり資産としての価値向上につながります。 Ⅲ 実施したCM事例 [案件事例]●築37年のオフィステナントビル(地上11階地下2階、約93,000㎡)の空調改修事例です。 [改修理由]●経済的劣化...空調更新を一度も行っていない。●省エネルギー化...現在400V仕様を200Vとし省エネタイプとしたい。●社会的劣化...テナント毎の課金システムを導入したい。[阪急CMにて空調方式の比較検討し意思決定を支援]●既存システムを含めた4種類のシステムを提案●各案のイニシャル・ランニング・メンテナンスそれぞれのコストやメリットデメリットを比較 [結果]●イニシャル・メンテナンスコストは多少かかるが、ランニングコストが低くテナントの課金ができ賃貸対応性(分割・間仕切り対応)が高いC案を採用することとなりました。 Ⅳ 阪急CMの支援 空調システムなど設備改修時には、専門的な知識が必要です。CM方式の導入により、対象の施設固有の様々な条件や要素を勘案し、複数案のメリット・デメリットを比較検討し、発注者がより妥当な意思決定を行えるよう支援することが可能となります。また構想・計画立案、発注支援、設計・工事の各フェーズにおいて、適正なコスト、スケジュール、品質のマネジメントを行えるようになるといえます。我々、阪急CMをお客様の所有資産の資産価値向上に向けて是非ともお役立てください。
2021.06.04
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- コストレポート
コロナ禍における建設コストの推移
はじめに 新型コロナウイルスの感染拡大による東京オリンピック延期やインバウンドの減少、さらに各地で多発する自然災害と困難な状況が続く中、建設プロジェクトに於いても「感染拡大防止対策」「新しい生活様式」など、今までにない様々な対応が必要になっている状況です。現在、建設コストへのコロナ禍による影響はまだ途中段階であると思われますが「建築費指数」「建築・設備主要資材価格動向」「労務費の推移」について考察を交えご紹介いたします。*本レポートは阪急CMが発行する阪急CM CHNNNELvol.36(2021年1月発行)に掲載された内容を再編集したものです。 近年の建築費指数の推移(グラフ1) 緊急事態宣言を境に下降傾向に転じたが、以降概ね横ばい傾向 鉄筋コンクリート造(以下RCという)、鉄骨造(以下Sという)共に、新型コロナウイルスの緊急事態宣言を境に、下降傾向に転じたが、緊急事態宣言解除後以降では概ね横ばい傾向が見られます(2020年7月時点RC指数118.5~120.7、S指数116.6~118.1/基準は2011年=100)。 グラフ1では、建設物価調査会の統計データによる建築費指数は、消費税増税の影響により需要が落ち込むタイミングにWHOによる緊急事態宣言が重なり、下降傾向に転じましたが、概ね5~6月を底に下げ止まり、以降横ばい傾向が続いていることを読み取ることができます。これにはGoToトラベルキャンペーン等の政府の施策や企業努力など様々な要因が考えられますが、新型コロナウイルスの感染拡大が再燃するなかで、今後の建築費の動きを注視する必要があります。 建築・設備主要資材価格動向(グラフ2) 緊急事態宣言を境に下降傾向に転じたが、以降持ち直しや横ばいの傾向 新型コロナウイルスの緊急事態宣言を境に穏やかな下降傾向であったが、緊急事態宣言解除後以降ではスクラップの持ち直しや概ね横ばいの動きが見られます。グラフ1の建築費指数の推移と比較すると、グラフ2では2010年以降スクラップ以外の振れ幅が小さく横ばい傾向が強い。このことから近年の建築費指数の動向には、資材価格よりも、労務費や施工会社の諸経費が大きく影響していると読み取ることができます。 ガソリン 世界的に新型コロナウイルスの感染拡大傾向が続いているなか、先行き不安は払拭できず現状を底値圏とした横ばい推移の見通し◎2020年01月 135円/㍑ ◎2020年05月 114円/㍑(↘)◎2020年11月 122円/㍑(↗) スクラップ 新型コロナウイルス感染拡大による工場休止や工事中断が相次ぎ荷動きは低調であったが、在庫調整による需給のタイト感が出てきており、先行き横ばい推移の見通し。◎2020年01月 1.65万円/t ◎2020年05月 1.05万円/t(↘)◎2020年11月 1.65万円/t(↗) 鉄筋・鉄骨 新規需要は低調に推移しており、市況は下落基調が続いているがスクラップ価格の回復を受け目先強含みの見通し。◎鉄筋・・・2020年01月 6.8万円/t2020年06月 6.3万円/t(↘)2020年11月 6.5万円/t(↗)◎鉄骨・・・2020年01月 8.2万円/t2020年06月~2020年11月 7.4万円/t(↘) 生コンクリート 出荷量は新型コロナウイルス感染拡大の影響による着工遅れや工程遅延もあり減少が続いている。協組は2020年4月受付分から1,000円の値上げを打ち出しているが浸透には時間を要する見込みであり、先行き横ばい推移の見通し。◎2019年09月~2020年08月 1.40万円/m3 ◎2020年09月~2020年11月 1.41万円/m3(↗) 型枠(コンパネ) 新型コロナウイルス感染拡大の影響による更なる需要低迷により、過去にない低水準の入荷が続き、需給にタイト感が出てきており目先強含み推移の見通し。◎2020年01月 1,300円/m2 ◎2020年04月 1,270円/m2(↘)◎2020年08月 1,200円/m2(↘)◎2020年09月~2020年11月 1,170円/m2(↘) 600vビニル絶縁電線(IV) 都市部の大型物件を中心に堅調に推移していた需要は、新型コロナウイルス感染拡大による工程遅延などから落ち込みも見られるが、先行き横ばい推移の見通し。◎2020年01月 22.5円/m◎2020年05月 20.4円/m(↘)◎2020年08月 21.8円/m(↗)◎2020年11月 22.5円/m(↗) 配管用炭素鋼鋼管(SGP) 新型コロナウイルス感染症拡大の影響を受け需要は低迷しているが、生産調整等により価格に変動なく先行きも横ばい推移の見通し。◎2019年09月~2020年11月 4,100円/本 主要都市の鉄筋工事、型枠工事の市場単価(労務費)の推移(グラフ3) グラフ3では、労務費の目安は2016年11月頃より長らく概ね横ばいの推移が続いていましたが、2019年5月頃より東京都心部では需給の緩和や、工事量減少の見通しから専門工事業者間での受注競争が活発になり下落傾向に転じたと読み取ることができます。 新型コロナウイルスによる先行きの不透明感から、今後受注競争が活発になるとの見方もありますが、現状では概ね現行価格が維持され一部弱含み推移となる見通しです。ただし本稿執筆中である2020年12月時点では、名古屋に僅かな下降傾向が見られましたが、大阪は横ばい推移が続いており殆どデータに影響は表れていません。 おわりに コロナ禍の現在、建設コストへの影響が大きく注目されていると思いますが、本稿でご紹介した「建設コストの推移」では今のところ2008年のリーマンショック後のような急激な変化を確認するには至っておりません。 ただし、今後の建設プロジェクトにおいては、コロナ終息後も根付いて行くと思われる「新しい生活様式」への適応や、受注競争及び、サプライチェーンの世界的変化などによりコストや工期への影響が懸念されます。先行きの不透明感が強まるなか、懸念事項を解決し建設プロジェクトを成功させるためには、最新の情報を得ること、そして何よりその活用方法が重要と考えます。 当社では公共・民間問わず、様々なプロジェクトのCM業務・工事費査定業務に携わっており、「最新の建設プロジェクトの進め方」及び「最新の建設コスト情報」にてサポートすることが可能です。建設プロジェクトを進めるにあたり、お困りのことがございましたら是非お声がけいただきたいと思います。
2021.03.16
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- プロジェクト & コンストラクション・マネジメント
物流施設におけるCM方式の導入について
はじめに 近年、物流施設は既存施設の老朽化や都市圏郊外への高速道路網の整備による沿道立地により、施設の大型化・効率化・高機能化を求められています。またネット通販市場が活況であることから、増加の傾向にあります。 弊社でも物流施設のCM業務を多くご用命頂き、大手不動産デベロッパー発注案件や海外案件の実例もございます。筆者担当案件としては、「ビル型」BTS(専用倉庫)で冷凍冷蔵倉庫+ドライ倉庫機能、また「スロープ型」のマルチテナント倉庫の一棟借り(1テナント)対応など多様化したものもございます。今回は物流施設建設のCM業務に関し、基本的なアドバイザリー事例を交えてご説明致します。 物流施設におけるCM業務フロー 阪急CMは、プロジェクトのあらゆるフェーズより参画することが可能ですし、フェーズ毎にスポット的にご支援することも可能です。ただ、以下図表のA印で示す「基本計画より前」に導入頂くのが最も効果的だと考えています。物流倉庫では、基本計画フェーズで設計施工者(ゼネコン)の選定を行うケースが多いため、発注者と阪急CMでボリュームプランと仕様書を策定した後にゼネコン選定を行う手順が合理的な進め方と考えます。 当初より設計と施工をゼネコン1社に託してしまうと、要求品質の変更や増減コストの舵取りがゼネコン主導となってしまう恐れがあるからです。主役は発注者であり、そのサポートを行うのが我々コンストラクション・マネジャーの役目となります。 マルチまたはBTS倉庫の選定は、遅くとも基本設計開始前(B印)に決める必要があります。テナントリーシングには、阪急阪神ホールディングスのグループ力をご活用頂くことも可能です。 実際のアドバイザリー業務(事例) 配置計画やスパン計画 片面バースの計画の場合、以下のような逆U字の物の流れとなります。バースにどの大きさの車が何台止まるかもスパン決めでは重要です。40ftトレーラー(45ftも視野に入れ)対応として計画します。 倉庫のラック配置と充填効率 11×11mスパンのラックレイアウトが以下の図になります。フォークリフト通路幅3mをとり、防火区画面積1500m2以下を考慮しますと、充填効率は上がります。坪貸し賃料だけでなく「パレット当たりの賃料」との言い方でテナントとの交渉に使えると考えます。 庫内照明 倉庫照明標準はLED仕様で200lxが一般的です。照明器具の吊り方は、床躯体への打込配線がひび割れ防止の観点より敬遠され、さらに改修時の自由度を高めるため、メッセンジャー方式を採用するケースが増えています。庇下等は風の影響があるのでレースウエイ方式を推奨しています。 アメニティの向上 働く方々の環境も重視するのが近年の傾向です 荷物やトラックが主役の倉庫ですが、最近はピッキング等、倉庫で働く人の作業環境の向上が求められる傾向も多くなってきました。庫内の空調や休憩所をはじめ、食堂や売店、保育所などの設置を行う事例も増えてきています。 阪急CMは総合的な視点に立ち皆様のプロジェクトをサポートして参いります 御精読ありがとうございました。 ー Thank you for your reading! -
2020.08.21
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BLOG
- 改修工事
改修工事に伴う不具合の解決事例について
はじめに 建物の改修工事は、たとえ多くの実績やノウハウを有する施工者が対応した場合でも、不具合が発生してしまうケースがあります。その主な要因は、改修工事の調査・設計段階において対象建物が使用中のため十分な調査ができなこと、また工事段階の期間やスペース的制約により難易度が高い中での作業となること等が挙げられます。[改修工事の不具合の要因例]〇設計段階で現場調査に制約がある〇新築の竣工図やその後の改修図がない〇改修工事の設計図書が不十分〇作業可能な時間に制約がある〇搬入経路の確保や資材置場の確保が不明 不具合が発生してしまった際には、設計者や施工者との協議だけではスムーズに解決に結びつかないケースがあります。また不具合の内容により想定外の費用が発生する場合や発注者と施工者(設計者も含む)間で法的な係争に発展してしまうリスクもあります。ここでは阪急CMが実際に受託した総合マネジメント型CM業務※1のうち工事段階においてご相談を受けた事例で解決に至った事例をご紹介いたします。 事例1 福祉施設の個室改修工事における事例 床置き型ファンコイルユニット(以降FCU)※2の改修を実施したところ、竣工引渡前に夜間のFCUの暗騒音が大きく施設利用者に影響を及ぼすことが懸念された。 原因 選定したFCUが低水量型であったのに対し施設全体の冷温水量が大きすぎたためコイル内での騒音が増大。 対策と結果/CMrの対応 施設全体のバランスを考慮しながら水量調整を行うことで騒音を低減しました。 これは竣工引渡し前に対応した事例です。弊社は発注者の代行者として問題に参画し、改修工事の設計者・施工者及び関係者を集めて、対策会議・現地調査を数回実施し、是正方法・スケジュールを取り纏めました。発注者に中間報告のうえ是正を行い、発注者への報告を行いました。 事例2 更衣室を会議室に改修する工事での事例 会議室のLAN配線は電算室から配線されていたが、テスターによる測定の結果、配線長が100mを超えており、専門業者から伝送能力に責任が持てないとの回答を受けた。 原因 平面計画での机上確認では、100mを超える配線はなかったが、実際には床下から天井までの迂回や障害物による迂回が発生し、120mを超える配線長となっていた。 対策と結果/CMrの対応 ルートを変更し、中間にHUBボックスを設置して中継を行うことで、ルートを短縮化し100mを超えるケーブル配線長を解消しました。 図表提供:阪急CM この事例は改修工事中に発覚した事例です。実際のLAN配線が100mを超えても不具合が発生するとは一概には言えませんが、発注者へは将来的な保証を考慮し、是正することを強くお薦めしました。通信専門業者と設計・工事業者との協議を重ね、対策案を取り纏め、工事費用も工事関係者サイドにて費用負担することで妥結しました。 事例3 地下に出張所を設置した工事での事例 竣工直後に空調ダクトからと思われる振動と低周波音が発生し、業務を行われていた女子従業員が、体調不良を訴える事態となった。 写真提供:阪急CM 原因 天井内の空調ダクトと天井部に遮音対策を行うも、状況に変化はなく、騒音振動源を調査した結果、壁を介して隣接する空調機械室からの振動騒音であることが判明した。機械室内を調査したところ、エアハンドリングユニット※3に接続されているダクトの曲がりが大きすぎたため、ダクト鉄板の一部分にめくれが生じ、太鼓効果でダクト内に振動・騒音が発生していた。その振動騒音がダクトから界壁に伝搬し、出張所内壁を振動させていた。 対策と結果/CMrの対応 ダクト曲がりを緩やかに修正し、めくれた鉄板を撤去・補強した結果、騒音・振動とも良化しました。 この事例は竣工直後にご相談を受けたものです。弊社は発注者の代行者としてビル管理者及び工事責任施工業者と協議を重ね、現場調査と対策方法を取りまとめ、発注者に報告を行いました。また費用についてもビル管理者と協議し、ビル管理者の費用負担で工事実施に結び付けました。 まとめ 以上3つの事例をご紹介いたしました。 利用中の建物を改修する際に生じる不具合は、発注者にとって社会的・経済的損失、あるいはテナントやユーザーに対する補償問題に発展するリスクをはらんでします。よって改修工事は設計段階の未調査部分を入念に確認しながら進めていく必要があります。 こうした背景に精通するのが我々コンストラクション・マネジャーです。 阪急CMにご用命いただければ、改修工事の不具合発生リスクの低減・円滑なマネジメントを通じて皆様のプロジェクトを御支援してまいります。皆様の計画におかれましても、何かお困り事がありましたら是非お気軽にお問い合わせください。 御精読ありがとうございました。 ー Thank you for your reading! -
2020.08.18