REPORTプロジェクトレポート

やぶ市民交流広場 YB ファブ プロジェクトインタビュー②

PROJECT INTERVIEW

プロジェクト全体を見渡せるポジションが成功の鍵

養父市らしさのこだわりにCMRの推進調整力が貢献

やぶ市民交流広場 YB ファブは、2004年の4町合併以降の象徴となる養父市の一大プロジェクトであり、文化芸術の拠点、賑わいやまちづくりの中心地となることが期待され、2021年9月に開館しました。阪急CMはこの新築プロジェクトに2017年10月からCMRとして参画し、市の諮問機関であったCM委員会(※)とともに、市の担当部局をサポートし、この事業に尽力いたしました。今回は、阪急CMと共にプロジェクトを牽引したCM委員会の委員をつとめられた、木下 光様、横守 稔久様に、当プロジェクトについてお話しを伺いました。

※CM委員会
国家戦略特区として積極的に改革推進を行っている養父市では学識者等の第三者委員会が組織されており本事業でも「CM委員会」が民間事業者との間で市をフォローするポジションとして設置されていました。

CLIENT

  • 横守 稔久

    横守 稔久

    やぶ市民交流広場 YB fab 整備事業 CM委員会 委員

    県立文化施設 管弦楽団プロデューサー

  • 木下 光

    木下 光

    やぶ市民交流広場 YB fab 整備事業 CM委員会 委員

    関西大学 環境都市工学部 教授

INTERVIEWER

高草 大次郎・小島 彩乃

阪急コンストラクション・マネジメント株式会社

大阪本社 PD部

※ 本インタビューは阪急CMが発行する阪急CM CHANNELvol.39(2022年6月発行)に掲載された内容を再編集したものです。掲載されている情報は取材当時のものです。

【市民の声をかたちにつなげる】

CM委員会委員としてYB fabのデザインや運営方針策定等にかかわられた感想をいただけますでしょうか?

―横守様―
限られた予算で様々な機能を実現するためには、妥協できるところと重視するところをしっかりと見極めることが重要です。YB fabでは市民との対話の中で、ホールの音質の良さにこだわるという方針を早い段階で決めたことが良かったと思います。その方針に沿って、私は自分の専門分野を活かした様々な提言をさせてもらいましたが、それをCMRがしっかりと受け止めて、着実に設計に落とし込んでもらえたと思います。

ワークショップで得た様々なアイデアが設計やイベントとして反映されていったことは大きな成果だったのではないでしょうか。

―木下様―
今回、多くのワークショップが実施され、学生を含む研究室としてそれらの企画立案や実施支援を行いました。一般的には、ワークショップの成果が実際に反映されたのかどうかわからないことが多いのですが、CMRが協働することによって、ブライダルや壁画ワークショップなどのテストイベントにつなげたり、建物の平面計画やデザインに反映されたりと、しっかりと成果をかたちにすることができました。これらはYB fabが完成直後から多くの市民に愛着を持って利用されていることにつながっていると思います。

CMRの果たした役割について

阪急CMが今回のプロジェクトに果たした役割について皆様の感想をいただくことはできますか?

―横守様―
今回、養父市をフォローするCM委員としてプロジェクトに参画したのですが 、市民会議では文化会館としてメイン施設となる劇場について竣工後も見据えた長期的な視点から意見させていただく機会がありました。

妥協できる範囲と譲れないラインの見極めが重要な局面で「養父市らしさ」をどのように取り入れるのか、市民の皆さんからの意見もあり音響へのこだわりを設計へ取り入れることになったのですが、私自身が建築を専門外としている中、CMRが間にいてくれたおかげで、発注者の養父市も私達の意見を尊重してくださいました。

結果、実際に演奏されるどのアーティストも音響のすばらしさを賞賛しています。 発注者、CM委員会、CMRの3者体制でしたがCMRがこれらの推進と調整をうまく進行してくれたおかげで実現した成果だと感じています。


―木下様―
運営について市民意見を聞くワークショップを行いましたが、CMRがプロジェクト全体の中で、このワークショップの役割を理解していたことが成功のポイントだったと思います。

技術職員や専門家が少ない地方自治体において市民意見を取り入れるワークショップでは、結果がどのように反映されているかわからないことが往々にしてあります。今回は高校生が原画を描き、市民約300人で仕上げた壁画ワークショップの花デザインがタイルになったり、 高校生のアイデアがブライダルイベントになったりと公共空間の使いこなしをしっかりと実現することができました。市民とCM委員会と、それを形につなげるCMRのバランスが取れていたことで、今回のプロジェクトにマッチした市民参加が可能になったと思います。

また、文化・教育施設は運営が軌道に乗るまで建設から含めて10年程度の長期的な計画が必要だと考えています。整備から運営段階への 「想い」の橋渡しはもちろん、市内外のNPOや文化団体、中学・高校、大学などの学術機関との連携構築についてもCMRがもっと活躍できる幅があると感じました。

【建設段階で育んだ「想い」を施設の運営へと繋げていくために】

竣工後の運営のあるべき姿についてご意見ください。

―横守様―
整備段階で市民を含めた様々な関係者が議論し、練り上げていった施設への「想い」を運営段階にもつなげていくことが重要だと思います。自治体の場合、そこがどうしても途切れてしまいがちです。さらに運営を直営とした場合には、定期的な人事異動もあり、運営分野のスペシャリストが育成しにくいと感じています。

―木下様―
文化教育施設は建設から、ある程度運営が軌道に乗るまでのトータル10年程度を見据えた長期的な計画が必要だと考えています。その間の、整備段階から運営段階への「想い」の橋渡しはもちろん、市内外のNPOや学校、文化団体や大学などとの連携構築についても、CMRができることは多いのではないでしょうか。

文化教育施設については、運営段階を想定したマネジメントが重要

―阪急コンストラクション・マネジメント―
昨今、CMRに求められる役割は、確実に拡がってきていると感じています。弊社としてもしっかりとその期待に応えたいと思っております。

本日は貴重なお時間をありがとうございました。

ありがとうございました。

 

御精読ありがとうございました!
  ー Thank you for your reading! -

 

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