REPORTプロジェクトレポート

デカトロンジャパン様 阪急西宮ガーデンズ出店プロジェクトCM業務

PROJECT INTERVIEW

海外商業テナントの出店プロジェクトのご紹介

海外テナントであるクライアントの理念を理解し、日本への初出店をワンストップで総合支援!

 「デカトロン(DECATHLON)」は、1976年にフランスで設立されたスポーツ小売の大手企業。「スポーツの喜びと恩恵をより多くの方に提供すること」を目的に、現在世界57カ国1,600店舗で様々なスポーツ用品を販売されています。 Vitality(バイタリティ)とResponsibilty(責任)をコアバリューに、地域の活性化はもとより、会社で働く人々の成長と豊かさを重視した企業として、2018年にフランスで従業員5,000人以上の部で「働きやすい会社1位」にも選ばれました。

 弊社がご下命をいただいたのは、日本での出店における建設部分の全般的なマネジメント。この春、日本初出店となる西宮店(兵庫県)が無事に竣工しましたので、デカトロンジャパン株式会社の代表取締役社長ギナールエリック様と、エクスパンションマネジャーの宮田由佳子様に、弊社のCM業務についてのご感想をお聞きしました。

CLIENT

  • ギナール エリック

    デカトロンジャパン株式会社

    代表取締役社長

  • 宮田 由佳子

    デカトロンジャパン株式会社

    エクスパンションマネジャー

INTERVIEWER

植松 陽介・吉水 悟・余部 薫子

阪急コンストラクション・マネジメント

大阪本社 CM部 / 営業部

日本でプロダクションオフィスを構えていた経験を活かし世界第3位の日本市場へ、満を持して出店

最初に貴社の事業内容をお聞かせ願えますでしょうか?

デカトロンはフランスを本拠地とし、グローバルレベルでスポーツ製品の開発・流通・販売・アフターサポートを行っています。大きな特徴は、オリンピック競技で知られるようなものから、地域に根差したあまりなじみのないものまで、約80種にわたる幅広いスポーツ用品の開発・販売です。世界規模で見ると総売り上げの平均9割弱を自社ブランド品が占め、日本では100%が自社ブランド品となっています。

日本への出店を決めた理由については?

デカトロンが小売事業を始める前は、自社ブランド製品の資材調達や技術開発に関する業務を主として、実は1993年から日本にオフィスを構えていました。2015年には自社のEコマースをスタートし、その後お客様とのコンタクトポイント「デカトロンラボ」もオープンさせましたので、十数年というステップを経て世界第3位となる日本市場に参入するということは、企業の選択としては当然の流れだったと思います。

どういう出店形態があるのかなど、本格的な日本の市場調査を2017年の4月から始め、20193月に阪急西宮ガーデンズ内に日本第1号店舗をオープンさせました。

出店までの相談を全てサポートしていただける「小学校の担任」のような教師役が必要だった。

CM導入の経緯についてお聞きしたいのですが。

デカトロンでは、複数の店舗があるフランスやイタリアなどは、社内に店舗出店に際しての専門部署を持っているのですが、初出店となる日本の場合は、「デカトロンの仕様がそのまま日本の法律に適合するのか、また日本人のショッピングスタイルはどのようなものか」など、建設に関するルールや商習慣の知識が全くありませんでした。また、知識を得ようにも、これらの相談を設計会社と行えばよいのか、ゼネコンとすればよいのかすらわからない状態だったので、現地のCM会社とパートナーを組むのがベストだと考えました。

弊社を選定いただいた理由は何だったのでしょうか?

例えば、日本の店舗としてトイレの数が幾つ必要かさえも全く分からなかったので、トータルな相談を全てサポートしていただける、いわば体育や音楽、算数など、様々な科目を教えてくれる「小学校の担任」のような教師役が必要だったのです。

そういう意味で、建築に関する幅広い分野で豊富な経験と人材をお持ちで、かつ設計・施工業者とのつながりも多い阪急CMにお願いしたわけです。

デカトロンを理解していただいたうえでの対応が阪急CMを信頼した一番の理由。

弊社の業務対応について感じたことは?

まず、私たちが気付かなかったことにまで配慮した提案をいただけたことに感心しました。例えばプランのご提案だったら、デザイン面だけではなく、店舗従業員やお客様に対しての安全面までしっかり把握した提案がされていたことです。

また、リアクションの早さにも驚きました。私たちが色や素材の変更を要望しても、次の日の午前中には対応案ができていましたよね。おかげですぐにフランスとやり取りができ、その日中に決定が行えたので非常に効率的でした。

不安な点はなかったのでしょうか?

デカトロンの様々なルールや仕様を、どれだけしっかり理解していただけるかという懸念は正直ありました。しかし、フランスやイギリス、中国、香港、韓国と、様々なデカトロン店舗へ出向いていただき、何よりもまずデカトロンをよく理解し、その理念を日本の店舗につなげていくというご対応だったので、そこが阪急CMを信頼した一番の理由です。

実際の施工をイメージできるようにレイアウトパースを提案、デザインも阪急CMが担当。

まず基本計画書の作成を行いましたが、提案内容についてはいかがだったでしょう?

什器レイアウトなどが一目でわかるパースでのご提案をいただき、とてもイメージしやすかったと思います。海外店舗の様々な什器をご理解いただいたうえで、実際の施工を前提にローカルのトレンドも加味した完成度の高いレイアウトが描かれていましたので、第2・第3のプロジェクトでもそのまま施工できそうなくらいでした。

デザインも弊社で手掛けさせていただきましたが、これについてはどうだったでしょうか?

もちろん良かったです。デカトロンの仕様をしっかり踏まえた様々なデザインをパースでご提案いただいたので、デザインもそのまま阪急CMに携わっていただくのが一番だと思っていました。

これは言い換えれば、業務の垣根を阪急CMが取り払ってくれたと言えます。「この業務はどこの担当だから」とか、「誰がやるんだ」とかではなく、プロジェクトにかかわった皆さんが自社プロジェクトのように扱ってくれましたから

さらに、設計・施工者もベストな会社を選定していただいたと感じています。今でも覚えているのは、「スポットライトが商品にどう影を作るのか、どう明るくするのか」という検討を、事務所にスペースを作って熱心に検討されていたことです。プロとしてしっかり要求をコミットしてくださり、プロジェクトをいかにうまく運ぼうとしてくれていたのかを感じました。

CMと言うよりPM(プロジェクトマネジメント)の立場で店舗開発における発注者業務をワンストップでサポート。

コストマネジメントについてはどうだったでしょうか?

建設技術のプロとして、発注者業務の全てをサポートしていただいたわけですが、コスト管理に関してもベストなマネジメントをしていただけたと思っています。私たちの要望を密に聞いて発注方法を検討していただくなど、想定していたよりもリーズナブルな金額で契約をさせていただき、他国でよくある「実際の支払い金額と大きな差が出る」といったこともありませんでした。

最終的にはCMの枠を超え、PMまで担当させていただくことになりましたが…。

通常、各会社は分断されていることが多く、発注のたびにデカトロンの仕様を理解していただくのですが、今回のプロジ ェクトでは、店舗候補地の確認から行政調査に始まり、配置ボリュームの検討や什器レイアウト、外観・内観パース等の作成、工程表や概算工事費、プロジェクト予算表の作成、さらには広告打合せ時のアドバイスなど、これらの全てを阪急CMにワンストップでお願いできたことが大変ありがたかったです。

阪急CMは受注者・発注者を超えた「良きパートナー」、いろんなことを言い合える関係でベストな店舗ができた。

最後に、弊社に依頼しての感想や、新たな要望があればお聞かせ願えますでしょうか?

今回のプロジェクトでは、こちらからの要望に対して阪急CMからはプロの視点で「このほうが良いのでは?」と、別のご提案をいただくことがよくありました。また、色や素材の選定や什器の設置などで、こちらがOKを出しても「いや、ここは妥協せずに、もう少し」と、大変熱意を持って対応していただいたことが印象的でした。

 他国でももちろん、受注者と発注者という良い関係が築け、デカトロン仕様に沿った店舗はできあがります。しかし今回のプロジェクトを通じて、阪急CMは受注者と発注者を超えた「良きパートナー」だと感じました。常にパートナーシップを組みながら、いろんなことを言い合える関係ができたからこそ、よりよい提案が実を結び、日本でベストな店舗ができたのではないかと思っています。

 それから、阪急CMには要望というよりも、今後もぜひ関与していただきたいという思いがあります。今回の西宮ガーデンズは、デカトロンとしては特殊な「都市型モデル」の最初の店舗なのです。今後、日本での2店舗目、3店舗目を見据えた時に、どんなイメージの店舗にするかというのは、その街の雰囲気や立地で変わってくると思います。もちろんデカトロンとしてのアイデンティティーはありますが、阪急CMからはトレンドやデザイン面でもご意見をいただけたらと思っています。

本日は貴重なお時間をありがとうございました。

ありがとうございました。

※本レポートは「HankyuCM-CHANNEL vol.34」に掲載された内容を再編集したものです。


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