オーシャンポイント株式会社[江田島Oyster Factory]新築プロジェクト
PROJECT INTERVIEW
商社から"自社加工"のオイスターファクトリーへの挑戦
行政との連携や地域社会貢献に向けた想いとは

食品卸から始まり自社加工メーカーとして企業価値をブラッシュアップする今回のプロジェクト。
オーシャンポイント株式会社 坂井社長、石田執行役員にCM導入から今に至るまでの道のりや、これからの地域社会貢献に向けた想いを伺いました。
CLIENT
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坂井 英隆様
オーシャンポイント 株式会社
代表取締役社長
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石田 浩司様
オーシャンポイント株式会社
執行役員
INTERVIEWER
赤松 直樹・青山 明生
阪急コンストラクション・マネジメント株式会社
※ 本インタビューは阪急CMが発行する阪急CM CHANNELvol.44(2024年11月発行)に掲載された内容を再編集したものです。掲載されている情報は取材当時のものです。
オーシャンポイントの事業内容について
阪急コンストラクション・マネジメント
オーシャンポイントの事業内容についてお聞かせください。
オーシャンポイント
元々、現会長の川﨑が卸売として広島県産牡蠣は扱っていたものの加工は委託していたため、我々は商品を販売する販売会社として設立をしました。現在、創業22年です。その中で、どうしても世の中の動きとして、食品衛生に関して求められる水準であったり、大手取引先から求められる衛生管理の内容であったり、また販路についても国内だけでなく海外向けの販路も徐々に広がっていく中で、我々のコントロールが利きにくい委託加工に、徐々に限界を感じているところがありました。そこで3年前に自社で加工するメーカーとして、より広く良いものを販売できる体制を取りたいということで、このプロジェクトがスタートしました。おかげさまで1年前にこの工場が稼働を開始し、現在は広島県産牡蠣と、一部瀬戸内産ということで岡山県の原料も扱いながら、販売会社であったときと同じアイテム、つまり冷凍牡蠣と冷凍のカキフライを中心に自社製造、自社販売しています。

CMを導入した経緯について
阪急コンストラクション・マネジメント
3年前から事業を進められていて、コンストラクションマネジメント(以下「CM」という)を導入していただきました。CM会社を導入した経緯をお聞かせください。
オーシャンポイント
この案件はかなり大規模なもので、当然我々の自己資金だけではなく、取引金融機関のご協力がある中での資金調達が必須です。既存の取引金融機関に、この投資案件について相談に伺った際に、「このような設備投資案件について、コンサルティングをされている会社がありますよ」というお話をいただきました。内容を伺うと、主に建築・施工のコンサルティングで、我々にはそういったノウハウのない初めての設備投資であり、コストやスケジュール、進めていく中での不具合への対応をどのようにしていけばよいか大きな課題だったので、一度お話を伺ってみようと紹介してもらったのが経緯です。
阪急コンストラクション・マネジメント
CMを入れてみようというご判断について、皆さんの中でどんな話し合いをされたか教えてください。
オーシャンポイント
今回いちばん重要だったのが、設計と施工の業者を分けたことです。設計業者、その後施工業者の選定をしないといけないという点で、施工者選定入札をどう取り仕切るかということが、大きな課題として我々の中にありました。ここをしっかり仕切り、第三者目線で精査してくれるコンサルティングという内容に非常に惹かれました。導入するいちばんのきっかけはこの入札です。ここをどう仕切るかというノウハウが我々にはなかったので、非常にありがたかったですね。

阪急コンストラクション・マネジメント
阪急CMがお邪魔した時期はちょうど基本設計が終わる手前の段階でした。その後、基本設計も見直しながら、延床面積の課題やカフェをやるかやらないかなどいろいろありましたが、CMを導入したことの効果はどんなところに感じられましたか。
オーシャンポイント
第一に、スケジュールがイメージしやすくなったことです。我々にはできればここまでに稼働させたいというゴールが見えていました。それに向けて、基本設計から実施設計、施工者選定、施工にどれだけの期間がかかりどのように進めていかなければならないのかイメージしやすかったです。第二に、コストの精査です。これはCM導入の大きな理由の一つでもありました。コストの感覚、市場価値、価値観がわからなかったので非常に助かったと思っています。第三に、法的制約への対応です。いろいろな関係法令があり、これだけの規模の工場を作るにあたり、この法律は引っかかるのではないかとか、ここはクリアしておかないといけない等、我々には知識がなかったので助かりました。スケジュール、コスト、必要な法令順守の部分でCMの導入効果があったと思います。

阪急コンストラクション・マネジメント
工事中それから供用開始までの準備支援でCMを入れて良かったという点があれば教えてください。
オーシャンポイント
この規模で開発をすると、様々なトラブル・・・地中埋設物であるとか、もちろん追加工事の部分、スケジュール、資材の高騰とか、本当に細かいことを入れたらたくさんのトラブルや予期せぬ部分があります。そんな中で、私たちがすぐ相談できるところがあるということがいちばん助かりました。

阪急コンストラクション・マネジメント
振り返ってみて、反省なども含めて、建設プロジェクトでいちばん重要だという点は坂井社長としてどう思われていますか。
オーシャンポイント
様々なタスクが複合的に同時進行していく中で、旗振り役というか、ここは誰が責任持ってやるのとか、ここは誰がいつまでにやるのとか、それを整理して共有する部分で阪急CMの力がかなりあったと思っています。それが不明瞭になると工期にも影響してくるし、もちろんコストにも影響してくるし、最終どこが責任を取るんだということにも繋がってきます。全て拾えたかどうかはわからないですが、全体的に非常によく整理してもらい、旗振りをしてもらったと思います。「これはどこどこさんお願いね」という話を皆の前でしてくれて、それを議事録に残していく形だったおかげでスムーズに話は進んでいったと思っています。
[江田島Oyster Factory]カフェや飲食への想い
阪急コンストラクション・マネジメント
カフェについて触れておかないといけません。この場所、ここで飲食店をやるというのは本当に大変な判断があったのではないかと思います。やると決められて1年経って、社内での合意形成の中でいえば、始めようと決断された経緯とトータルで継続していかなければいけないビジネスの一つだとは思うのですが、カフェや飲食について、もし何か想いがあればお願いします。
オーシャンポイント
元々はカフェというジャンルではなくて、これは行政、江田島市長の要望もあって、「江田島市内で牡蠣を美味しく食べられるところが少ないよ」という意見ですね。せっかくの特産品なのに、例えば観光で来られた方が牡蠣を食べられる飲食店が少ないので、そういう場所があれば非常にありがたいという話がありました。当初は、確かオイスターバーベキュー広場のような、個人が殻付きの牡蠣等を自分たちで焼いて食べるスペースを設けるといった話でスタートしていました。その話が、我々は元々フランチャイズであるもののカフェレストラン3店舗やっているノウハウがあったため、それであれば直営の飲食店を自前でやってもいいんじゃないかという話にすり替わっていき、事業推進していったのです。この江田島オイスターファクトリーで作っているのは業務用製品です。個人消費者向けに販売するアイテムではなく、あくまでも業務用で、問屋や商社、量販店に卸すものです。その先がエンドユーザーになります。飲食店をやるということで牡蠣を使ったメニューを食べる最終のエンドユーザーの声が聞ける。それが回り回って、将来的には業務用カキフライ、業務用の冷凍牡蠣の商品開発にも、繋がるのではないかと考えています。

阪急コンストラクション・マネジメント
ここは小学校跡地ですが、この建設地を決められた経緯と、この場所が良かったと思う点をお聞かせください。
オーシャンポイント
建設候補地としては、県内の海岸沿岸でした。海が近いところを広く候補地として私たちも捉えていました。もちろん福山、それから尾道、竹原、呉もちろん江田島、大竹の方まで、実はいろんな物件候補地を検討していました。その中で江田島を選んだのは牡蠣の産地の中心にあるからです。私たちも会社の都合で言うと、福山の本社に近い方が良いのです。もっと交通の便がいいとか、社員が通いやすいとか、そういうところの方がいいのですが、でもそこは基本に立ち返って、原料を調達するにあたって鮮度管理ができるいちばんいい立地条件はどこなのかというと、産地の中心である江田島、呉だったんです。最後に江田島に決めた理由は、もちろん海が近くて産地が近いというのはあるのですが、やっぱり行政の協力、江田島市の熱い思いがありました。ここにぜひ工場を建てて、牡蠣を加工して雇用も創出して、それを最大限バックアップするという強い思いを受けたことです。我々も福山から縁もゆかりもないところで商売する以上は、ここまで言っていただけるバックアップがあるのはすごくありがたいです。

阪急CMについての感想をおきかせください
阪急コンストラクション・マネジメント
坂井社長にとって阪急コンストラクション・マネジメントはどんな会社でしょうか。また弊社をどなたかに紹介されたいと思われますか。
オーシャンポイント
言い方を考えなければ、本当に面倒見のいい会社だなと思います。ある意味、「業務外だから知りません」と言ってもらってもいいところを、アドバイスという形で意見をいただいたりしました。私たちも相談しやすい関係性を築けましたし、そういう意味では経験がない設備投資に積極的になりにくい、もう一歩が踏み出せないような会社があれば、阪急CMは非常にはまるんじゃないかなと。我々は建設に関するタスクにどれだけ時間を取られるかが怖いのです。工場をつくるということは人材集めやそれに向けた組織改編をしなくてはいけません。場合によっては我々のようにビジネスモデル自体を変えていくこともあります。経営者にとってそういったことに取られる時間は非常に多いです。ですから建設に関するところをバックアップしてもらえたおかげで、人材集めや資金調達、大きな業務提携を進めることができました。その他のやるべきことに注力できたことが大きなメリットでした。阪急CMの存在意義といったらおこがましいですが、製造業に限らず設備投資をする企業にとってこのようなアプローチは大変ありがたく、活躍のフィールドはまだまだあるのではないかと思います。
本日は貴重なお時間をありがとうございました
こちらこそ、ありがとうございました。
Manager’s voice
あらゆる課題をクリア。江田島の発展を応援!
今回の建築プロジェクトを推し進める中で、建築技術に明るくない発注者は数多の課題に対面することになります。その中には明確に課題と認識できるものの他、予見されない潜在的なリスクを抱えている状況もありました。新しい土地での事業、特に既にある事業所から離れた地域で事業を始められたため、雇用の創出に始まり、建築技術的な課題以外の様々な壁が立ちはだかったのです。それに対して私たちCMrは、あらゆる課題を事前に洗い出しました。結果として、第三者目線での精査を含め、建築技術的な課題やその他数々の壁を越えられるような助言を行い、無事に工期内で竣工を迎えることができました。本プロジェクトは当初契約の実施設計監修、施工者選定支援に続き、工事監修、最後の供用開始準備支援までご契約いただき、発注者にとってCMrの一定の効果を感じていただけたのではないかと自負しております。引き続き阪急CMとして、発注者、ひいては江田島の発展に微力ながらご協力していきたいと思います。
御精読ありがとうございました!
ー Thank you for your reading! -